2005年に提唱された経営戦略論です。
これの新版が、2015年に出ていたので読みました。以下、感想です。
思ったより売れていない気がしました
世界350万部発行と数はそれなりに見えるのですが、43カ国で出版されたベストセラーとなっています。
350を43で割ると、8万部程度になりますよね。日本ではそれなりに知名度があるように思うのですが、他国ではどうだったのでしょうか。思ったよりも売れてる部数が少ない気がしました。
ただ、よく売れているかどうかと内容の良し悪しは、必ず比例した相関になると決まっているわけでもないようなので、ぼちぼち読みました。
読んでみると戦略を練るときにどういったお作法が必要になるのか、ひとつのやり方として、私はまとまっている気がしました。
以下、私が重要だと思ったことのメモ。(おかしな内容は、ご指摘いただけると助かります)
ブルーオーシャン戦略とは?
自社と顧客の両方に対して「価値」を向上させるバリューイノベーションをすすめること。
目的は、バリューイノベーションを満たした製品やプロジェクトを創造して、それを実行できること。なので、
- 創造するために(新しい戦略を)分析する
- 戦略を実行するハードルの越え方
が、大切だと(私は)思った。
それで、完成した経営戦略が「価値」「利益」「人材」の3つの面で整合性を取れていることが大切というお話になる。
戦略の分析は?
いくつかの手法が提案されている。
- 戦略キャンバス
- ERRC グリッド
- 4つのアクション
戦略キャンバスは大切で、ここから価値曲線(value curve)を描く。これが戦略の柱になる。
他のは戦略キャンバスの精度をあげるためのツールだと思う。
ブルーオーシャン戦略は、いわゆるレッドオーシャンで切り結ぶような戦略ではなく、競争を抜け出した新しい顧客に目を向けるところから始まっている。(+メリハリ化)
ただし、ブルーオーシャン戦略だけを採択するのがよいのではない。安定している、競争が適当なレッドオーシャンもある。
会社の中にはいくつもの事業がある。事業ポートフォリオ(PMSマップ)を見たときに、どういった傾向になるのか。
戦略のハードルの越え方は?
戦略キャンバスがどれだけ優れていても、ひとりですべてを達成することはできない。顧客を含めた利害関係者と協調して進めるほうがいい。
- ティッピング・ポイント・リーダーシップ
- 重点領域
- 非重点領域
- 資源交換
- 金魚鉢マネジメント
- 公正なプロセス
- 手続き的正義
- 3つのE
組織の中で仕事をするうえで「公正なプロセス」の章は、特によいものに見えた。
この章で一番強く訴えられているように見えたもののひとつが、「公正」だと思った。公正のために3つのEがある。
- Engagement (関与)
- Explanation (説明)
- Clarity of Expectation (期待の明快さ)
ちゃんと何をやりたいのか説明をする。しかも、決まったことを説明するだけじゃなくて、アイデアや仮説に反論する機会が必要。さらに、戦略が決まったあとは、なにを期待するのか明快に述べ、ペナルティの有無もはっきりさせる。
これが公正な条件になる。たしかに、これが示されるのと示されていないのとでは、感じ方が異なります。
私の過去の経験では、「会社の合併」がこれだったかもしれません。
会社が合併することは決まっています。(説明があった)しかし、社長と一部役員の強行だったので詳細な説明や関与の機会はなく、合併することで、その後どういた事態になるのか、なかなかハッキリしませんでした。
結果的に、後から損益分岐点が高くなっていたこと、棚卸金額(不良在庫)が倍以上に増えていたことがわかり、一時金にも悪影響。
たまった不満から退職を選ぶ人も出ました。また、合併前後は、明らかに業務に滞りや遅延が各部でおこっていました。
当てはめて考えるなら、公正さに欠けたのは痛かったということでしょう。
感想
ブルーオーシャン戦略は、簡単な経営戦略の下地だと思った。
専門用語も少ないし、計算もしません。とても簡単。
なんとなくのカッコよさと語呂の良さも相まって、日本ではそれなりに知名度がある気がします。ただ、解釈できる幅が広いので、都合よく「ブルーオーシャンに当てはまる例だ」みたいになってる気もしました。
戦略部分の考え方は、正直よくわからない。
正しいような気もするし、そうでない気もする。例示の規模が大きいことや、事例数は数点なので胡散臭く感じたりもしたし、ちゃんと内容を読み取れていないのかもしれない。
実行部分の考え方は、参考にしたいことが多い。
これは、納得ができる考え方が多いと思う。交通整理の考え方は、たくさん知っているのがいい、というスタンス。
トータルでいうと、「ブルーオーシャン」という考え方は、知らないよりは知っていていいもので間違いない。掲げられた経営戦略は「価値」「利益」「人材」の3つ面で整合性を取れているか、取れていないのか。
「ブルーオーシャン」という考え方を抜きにしても、3つの整合性は重要。