どういう人が読む本か
アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法は、チーム開発や職場で聞くような「マネジメント」、「上司論」などのさまざまな手法について、できるだけ広く扱ったものだと思いました。
良識として頭の片隅にでも残っていれば、自分の振る舞いがいくらかマシな(独りよがりでない)ものになるのかもしれません。
アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)
- 作者:Scott Berkun
- 発売日: 2006/09/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
どんな人が書いたのか?
著者一人のプロジェクトのマネジメント経験から技法をまとめたような書籍ですが、黄金時代のマイクロソフトに在籍していたレベルの高いマネージャーです。
特筆するべきは、さまざまな手法に対して、論文のように多くの引用(書籍であったり、映画、名言など)が添えられていることです。自分だけの成功体験談にならないようにする工夫と、広い知識が感じられました。
人物を調べてみると、書籍の販売元であるオライリーのページからも3つの書籍でベストセラーになっているようで評価の高さが伺えると思います。
内容は内容を見てその真贋を判断するべきだと思いますが、我々の時間は有限です。なので、できるだけ良質な内容である可能性が高い物を手に取りたいのです。その意味で、信頼できる人物だというのは、十分価値のある情報だと思っています。
構成
1章1章が Tips (心得、教訓)のようになっているため、ななめ読みでも参考になる一方で、アート、美術や芸術の技法(例えば、図法<遠近法<一点透視図法)のように技法の関係が整理されているようには感じられなかった。
そのため、読んで蓄えた Tips を自分なりに整理することが難しいように感じられた。「達人プログラマー」と同じように、何度読み返してみても、得るものがある類の書籍だと思います。
この本をレビューされている記事は、私以外にもいくつかありますが、次回の開発で気をつけたい教訓のポイントを箇条書きのようにして整理しているものが多いように思いました。やはり Tips 的に取り入れているのかもしれません。
これも私の意見ですが、一度開発を経験してみないことには、書かれていることが想像しづらかったり、納得しづらかったりする Tips が多い章があるかもしれません。(もちろん、参考になる章もあります)
開発に半年や一年以上の間、席を持っていると、いくつかの視点から開発事情がどうなっているのか考えると思うのです。この書籍は、より面白いものになると思いました。
読書感想文
この書籍は、大きく「計画」と「スキル」の2部で150ページと200ページぐらいに分かれて構成されています。ざっくりと、次のような感じです。
計画
- 開発の開始前 or 初動時にやっておく・知っておくもの
スキル
- 開発がスタート後に必要になるもの・経験
とりあえず、一回を読んだ(浅い)感想としては、どちらの部においても、プロジェクト・マネジメントの教科書的であり本質的なことが書かれていると思いました。
「こうやってこうすればいいよ」と答えが載っているのですが、それを成し遂げるには、なんらかの手法など上手く活用したり、具体的な実践を行うには、技法の粒度をもう一つ細かい(具体的な)ものにする必要があると感じます。(それが、悪いわけではありません)
「こうしていれば、大きな間違えにはならないだろう」というポイントを押さえておくようなもので、その上で具体的な方法論を検討するとよりよいものになるのではないか、と私は感じています。
開発技法では、ウォーターフォール型開発や、スパイラル型開発、アジャイル開発などのテンプレートが用意されています。実際は、一様ではなくて、各社なりのアレンジされたものが開発文化として根づいているかと思います。
逆説的に、そうした開発文化が本質的で論理的に開発しやすい状況にあるかどうかを再評価する目安になるのではないか、といった具合です。
(今の私の感想は、)開発がどうだったから、次回の開発はどういうアプローチで改善に繋げるか 考えるための Tips 集 です。
もちろん十分な能力と技量があって、最初からたくさん適用できればいい。でも、自分の開発が終わった時に読み直すと、自分の轍を再評価するほうが大切かな、と。
次回開発が終了した時点で、(振り返る時間があれば)第2回の感想を書きたい。
2020 年現在、まだ書けていない。うーむ。
アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)
- 作者:Scott Berkun
- 発売日: 2006/09/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)