QWERTY キーボードの歴史
まず、これがとてもおもしろいです。
キーボードの歴史です。
もともとあった諸説
キーボードがどうしてこういう配列になっているか、というのは、みんなのまわりで、いろいろな説が噂されていたと思います。ちなみに、私の身の回りでは、タイプライターの打ち込む速度を落とすため説が流れていました。
はい。こういうのでしたね。
それっぽいことが「らしい」「だとか」「かもしれません」といった感じで書いてありますね!
ちなみに、 WIKI の「QWERTY 配列誕生の諸説」 だと
- QWERTYはタイプライターの技術的な限界から打鍵速度を落としてアームの衝突を防ぐために考え出された配列だという説がある。
- また、タイプライターのセールスマンが、顧客に対して簡単に美しく「typewriter」という単語の打鍵を披露できるようにしたものだとも言われる。最上段のキーのみで、「typewriter」のほかにも「property」のスペルが打てる。
- その他にも、最も続けて打つことが多い文字、TとHのタイプバー(アームとも呼ばれるTypebar)を遠くに離すことで、内部の機械の故障を起こしにくくしたという説がある。
こんなのでした。
対して、上記記事の著者である安岡孝一さんは、歴史的な考察から諸説をわりと強く否定しています。まず、これを私は、はじめて知ったので面白かったです。
“Why are the letters of the keyboard arranged the way they are?” Several papers in the field of information processing answer the question like this: “To slow down the operator.” It’s nonsense.
On the Prehistory of QWERTY
上段のキー配列は「typewriter」という単語を含んでいて、それはセールスマンがデモンストレーションを行う際に、その単語を簡単に発見できるようにした、という噂だ。(中略、これの回答として) 噂としては面白いが、全くのガセネタだ。
オフィス機器としてのQWERTYキーボード
実際どうなのだろう、という私の感想
以下、どうでもいい私見。
残念ながら、「どうして」を知る史料が足りてない印象です。
例えば、オフィス機器としてのQWERTYキーボード の記事のとおり、セールスマンのデモンストレーションがモールス信号の実演だったとしても、あわせて「typewriter」を打ちやすくしておいてもいいじゃない。
商標が Type-Writer であっても、セールスマンは typewriter で困らないじゃない。パッと打ってドヤって、お客が喜んでくれるなら、それはそれじゃない。
そもそも、数字の「0」とアルファベットの「O」を一緒に使っていましたね。それだけ雑な文化圏で、ハイフンの有無で辻褄があわない、というほどでもないかなぁと思いました。
タイプライターがジャムするのを避けるため、速度を落とした~というのは違うんじゃないかな、っていうのも、活字棒配置とキー配置から、おそらくそうではないという考察です。当時の史料にそう書かれているわけでもない。
まとめると私の意見は、今となっては明確なエビデンスが足りない。でも、人狼ゲームでいうなら安岡孝一さんの意見は白っぽい。相手の意見がグレーっぽいという感じなので、先に釣るのは相手かな。(相手は、辻褄に難のある意見も混じっているので)
私の史料が足りないというのは、例えば「本能寺の変が起こった理由」みたいなのがわかりやすい。
1582年あたりの信長、光秀らの書簡などから、なんとなくこの時期の人間関係の空気は少しわかる。でも、なんで起きたのかは、わからない。「なぜ起きたのか」をはっきりと記した史料がないから。
でも「本能寺の変はこうやって起こった!」みたいな雑誌、漫画、小説なんかでいろいろと「なぜ」が描かれる。
QWERTY 配列のキーボードの歴史も、おんなじ印象。本人がいないから、周辺史料を調べて「なぜ」を想像してる。真目置きをがんばっている。
ちなみに、私は、この記事と 安岡孝一さんの HP をちょっと読んだだけなので、著書の内容は知りません。浅い記事ですいません。