sh1’s diary

プログラミング、読んだ本、資格試験、ゲームとか私を記録するところ

Strunk and White: The Elements of Style「Ⅱ.基本的な用法の原則」

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(コメントを)英語で書くときは、Strunk and White スタイルを使いましょう

この一文は、Python コードのスタイルガイド(PEP8)に挙げられています。GW 中に勉強のため、Strunk and White スタイルを自分なりに雑訳してみたのでそれを公開。

英語文法のお作法を知っていますかという話ですが、以下の雑訳した内容は、英語版だと Project Gutenberg から公開されています。日本語版だと 森田尚さんも翻訳されています。(例文の翻訳とコメントありは、ココだけかも)

以下の内容は、(主に例文に対して)一私的なコメントを付け加えています。「~思います」のような文で書きました。これは、私個人が読んだときに思ったことを補足として書いています。

2章から文法に関する内容になるので、序章を飛ばしています。気が向いたら、あとで調べるかも。

目次

1.「's」を加えた所有格単数形 (possessive singular of nouns) の形式

最後の子音がなんであっても、このルールに従います。

  • Charles's friend(チャールズの友達)
  • Burns's poems(バーンズの詩)
  • the witch's malice(魔女の悪意)

例外は -es-is で終わる(ancient) の固有名詞で、たとえば、所有格の Jesus', for conscience' sake(良心のための), for righteousness' sake(義のための)のような形式だ。 しかし、Achilles' heel(アキレス腱)、Moses' lawモーセの法則)、Isis' temple(イシスの神殿)は、通常置き換えられる。

  • the laws of Moses
  • the temple of Isis

代名詞の所有格 hers, its, theirs, yours, ours にはアポストロフィー(')をつけません。

補足として、アポストロフィーは、複数、所有、短縮の利用方法があるけど、これは所有の形式に関するルールだと思います。

2.ひとつの接続詞 (conjunction) と3つ以上の用語が連続しているとき、最後の用語を除いてカンマで区切る

こんな感じに書いてください。

  • red, white, and blue
  • gold, silver, or copper
  • He opened the letter, read it, made a note of its contents.
    (彼は手紙を開き、それを読み、その内容をメモした)

このコンマはシリアルコンマ (serial) と呼ばれることが多いです。事業会社の名前では最後のコンマは通常省略されます。個々の会社の使い方に従います。

  • Little, Brown and Company
  • Donaldson, Lufkin & Jenrette

最後の区切り方は and や & など好みによるってことだと思います。

3.カンマの間に挿入句 (parenthetic expressions) を囲む

コメント

  • The best way to see a country, unless you are pressed for time, is to travel on foot.
    (時間に追われていない限り、国を見るための最善の方法は、徒歩での旅行です)

このルールは適用することが難しいです。

however のような単純な語句は副詞的な挿入句 (parenthetic) であるかどうか、一言では判断がつかないことが多いです。もしも、文章の流れの割り込みが僅かなものなら、コンマは安全に省略することができるかもしれません。しかし、割り込みが僅かなものか相当なものかは別にして、カンマをひとつだけ省略してもう片方を残したままにすることはありません。

次のような句読点は、弁明の余地がありません。(誤りだということ)

  • Marjories husband, colonel nelson paid us a visit yesterday.
  • My brother you will be pleased to hear, is now in perfect health.

たぶん「colonel nelson」のあとにカンマが無いのと、「My brother」のあとにカンマが無いからダメなんだと思います。


日付

日付には通常、挿入句 (parenthetic) 的な単語か数字が含まれています。次のように句読点をつけます。

  • February to July, 1992
    (1992 年 2 月~7月)
  • April 6, 1986 (1986年 4 月 6 日)
  • Wednesday, November 14, 1990 (1990年 11 月 14 日 水曜日)

(次のケースは)カンマを省略することが慣例です。

  • 6 April 1988

最後の書式は、日付を書く優れた方法です。数字は単語で区切られているから、そのため、すぐに把握することができます。


Direct Address

Direct address1 による名前やタイトルは、挿入句 (parenthetic) です。

  • If, Sir, you refuse, I cannot predict what will happen. (もし、あなたが拒否するなら、私は何が起こるのか予想することができん)
  • Well, Susan, this is a fine mess you are in.
    (スーザン、非常にややこしい状態にあなたはいるな)

話者(書き手)が、別の個人(または、グループ)に話を直接する構造の文法(Direct address)になっているとき、挿入句的な書き方をする、と言っているのだと思います。「If, Sir, you」「Well, Susan」の挿入句の部分から、口語っぽいと推測できるし、誰かがあなた・スーザンに話をしている構造だと思います。


省略

etc. i.e. e.g. による省略、学位の省略、名前の後に続くタイトルは、挿入句 (parenthetic) であり、それに応じて句読点を付けなければならない。

  • Letters, packages, etc., should go here.
    (手紙や荷物などは、ここに)
  • Horace Fulsome, Ph.D., presided.
    (ホレス・フルサム博士が議長を務めた)
  • Rachel Simonds, Attorney
    (レイチェル・シモンズ弁護士)
  • The Reverend Harry Lang, S.J.
    イエズス会ハリー・ラング牧師)

名前の後につづくタイトルの例は「Attorney」「S.J.」だと思います。


ルール4の例外

名詞と限定的な識別用語 (restrictive term of identification) は、カンマで区切ってはいけません。

限定的な識別語は、「征服王」と「ウィリアム一世」のような組み合わせ。とても有名な組合わせの場合は、カンマを付けないのだと思います。

Junior の略語の Jr. を、一般的に説明しているとされています。論理的に示唆するのは、事実上、限定的であるため、コンマの必要はありません。

  • James Wright Jr.
    (ジェームズ・ライト・ジュニア 下院議員 第48代議長)


非制限関係節 (nonrestrictive relative clauses)・非制限節 (nonrestrictive clause)

非制限関係節 (nonrestrictive relative clauses) は、時間や場所を示す接続詞 (conjunctions) によって導入される(差し込まれている)節と同様の挿入句 (parenthetic) です。そのため、コンマは必要です。

非制限節 (nonrestrictive clause) は、先行詞 (antecedent noun) を識別したり定義したりするために役立つものではありません。

識別したり定義したり~とは、関係詞と性質が違うってことだと思います。

  • The audience, which had at first been indifferent, became more and more interested.
    (最初は無関心だった観客も、だんだん興味を持つようになってきた)
  • In 1769, when Napoleon was born, Corsica has but recently been acquired by France.
    (ナポレオンが生まれた 1769 年、コルシカ島はフランスに買収されたばかりだった)
  • Nether Stowey, where Coleridge wrote The Rime of the Ancient Mariner, is a few miles from Bridgewater.
    (ネザー・ストーウィ村は、詩人サミュエル・テイラー・コールリッジが老水夫行を書いた場所で、ブリッジウォーターの町から数マイルのところにあります)

これらの文章では、WhichWhenWhere によって導入される(差し込まれている)節は非制限的です。制限したり定義するのではなくて、単に何を追加するだけです。

1つ目の例では、Which によって導入された(差し込まれた)節は、どういう観客かを伝える役割をしません。読者はすでに知ってるはずです。(差し込まれた)節は、主になる文章を補足する内容を追加します。

3つの例文はそれぞれ、独立して作られた2つのステートメントの組み合わせです。

  1. The audience was at first indifferent.
    Later it became more and more interested.
  2. Napoleon was born in 1769.
    At that time Corsica had but recently been acquired by France.
  3. Coleridge wrote Rime of the Ancient Mariner at Nether Stowey.
    Nether Stowey is a few miles from Bridgewater.

非制限節 (Nonrestrictive clause) は、非制限関係節 (Nonrestrictive relative clauses) とは対照的に、挿入句 (parenthetic) ではないし、カンマで区切られることもありません。

  • People who live in glass houses shouldn't throw stones.
    (ガラスの家に住んでいる人々に石を投げてはいけません)

この who によって導入された句は、どんな人々なのかを伝えるのに役立ちます。この文章は、上述の文章(非制限節)とは異なり、2つの文章に分割することができません。

(カンマを使う)法則は、分詞句と非制限関係節で適用します。

  • People sitting in the rear couldn't hear, (restrictive)
    後ろに座っていた人々は聞こえなかった、(制限的)
  • Uncle Bert, being slightly deaf, moved forward, (non-restrictive)
    伯父バートは、少し耳が不自由なので、前に移動し(た)、(非制限的)
  • My cousin Bob is a talented harpist, (restrictive)
    私のいとこのボブは、才能あるハープ奏者で、(制限的)
  • Our oldest daughter, Mary, sings, (non-restrictive)
    我が家の長女メアリーが歌います、(非制限的)

非制限的な文は内容を付け足していき、制限的な文は内容を付け加えるのではない。

文の主節の前に句や従属節がある場合は、コンマを使って要素を区別します。

  • Partly by hard flighting, partly by diplomatic skills, they enlarged their dominions to the east and rose to royal rank with the possession of Sicily.
    激しい戦いと、外交手腕により、彼らは東側に領土を拡大し、シチリア島の領有権を得て王位に上がりました。

彼らは東側に領土を拡大し~の部分が主文なので、最初の2つは、従属節だと思います。なので、従属節をカンマで区別して、領土が拡大した方法を加えています。

4.独立節 (independent clause) を導入する接続詞 (conjunction) の前にコンマを置く

  • The early records of the city have disappeared, and the story of its first years can no longer be reconstructed.
    (その都市の初期の記録は消えてしまったので、最初の年の物語はもう再構築できません)
  • The situation is perilous, but there is still one chance of escape.
    (状況は危機的だが、まだ脱出の機会はあります)

2つ目の節が(because の意味での)asforornor、(and at the same time の意味での)or while で導入される2つの節の文章も、同じように接続子の前にコンマを必要とします。

従属節、または、コンマで区別する必要がある導入句が2つ目の独立節の前にある場合、接続子の後にカンマは必要ありません。

  • The situation is perilous, but if we are prepared to act promptly, there is still one chance of escape.
    (状況は危機的だが、迅速に行動する準備があれば、まだ脱出の機会はあります)

1つ目と2つ目の両節の主語が同じで一度しか表現されないなら、コンマは(接続詞が but のならば)役立ちます。

接続詞が and のとき、2つの文の間の関係が近い (close)、または、即時性のある (immediate) ときは、カンマは省略されます。

  • I have heard the arguments, but am still unconvinced.
    (私はその議論を聞いているが、まだ納得できていない)
  • He has had several years' experience and is thoroughly competent.
    (彼は数年の経験があり、申し分なく有能です)

1つ目の例は、私が議論を聞いて納得していないので、主語は一緒。(but が接続詞という条件を満たす上で)なので、カンマで区切って主語を省略しているんだと思います。2つ目の例は、彼の経験と有能だということは close な関係だからカンマで区切らなかったのだと思います。

5.独立節 (independent clauses) をカンマで結合しない

もしも、文法的に完全な2つ以上の節が接続詞で結合されておらず、1つの複合文を形成する場合、適切な句読点のマークは「セミコロン」です。

  • Mary Shelly's works are entertaining; they are full of engaging ideas.
    (メアリー・シェリーの作品はおもしろく、魅力的なアイデアにあふれています)
  • It is nearly half past five; we cannot reach town before dark.
    (もうすぐ5時半です。私たちは、暗くなる前に村に到着できません)

独立節 (independent clause) は、それ自体が文として成り立つことができて、主語と述語を持っており、節自身に意味があります。なので、4の独立節を導入した節とは違って、前後の節は、どちらも主語と述語を持っている。
主語が前後の文で、メアリー・シェリーと作品、時刻と私たちで異なっているんだと思います。

もちろん、セミコロンをピリオドに置き換えて、それぞれを2つの文として書くことも同様に正しいことです。

  • Mary Shelly's works are entertaining. they are full of engaging ideas.
  • It is nearly half past five. we cannot reach town before dark.

3つの書き方を比較すると、一つ目の(セミコロンを使った)書き方の優位性がはっきりと示されます。すくなくとも与えられた例では、2つ目の書き方よりも優れているのは、2つ目の文章がしていない方法で2つの文章の近接な関係を示唆しています。そして、3つ目の書き方よりも優れているのは、簡潔なのでより説得力があります。(効果的です)

たしかに、文章との間の関係を示すこのシンプルな方法は、最も有用な(文章の)構成手法のひとつです。例のような関係は、通常だと原因と結果の関係にあります。

2つ目の節の前に副詞(例えば、 accordingly, besides, then, therefore, or thus など)があり、接続詞でない場合は、セミコロンが必要とされます。

  • I had never been in the place before; besides, it was dark as a tomb.
    (私は、前にその場所に行ったことがなかったし、そのうえ、そこは墓場のように暗かった)

ここで注目するべきなのは、セミコロンの例外です。カンマは、句がとても短いときや形式が似ているとき、または、文の調子が簡単で会話的なときに好ましいです。

  • Man proposes, God disposes.
    (計画は人にあり、決裁は神にあり)
  • The gates swung apart, the bridge fell, the portcullis was drawn up.
    (門がばらばらになり、橋が落ち、落とし格子が引き上げられた)
  • I hardly knew him, he was so changed.
    (私はほとんど彼を知らなかったが、彼はとても変わっていた)
  • Here today, gone tomorrow.
    (今日はここ、明日には去る)

それぞれ、句が短い、形式が似ている、文が簡単。文と文の関係性をセミコロンで結ぶまでもなく、文の調子で判断できるため、カンマを使っているのだと思います。

6.文を2つに分割しないこと

(タイトルを)換言すると、カンマの代わりにピリオドを使わないこと。

  • I met them on Cunard liner many years ago. Coming home from Liverpool to New York.
    (私は何年も前に、リバプールからニューヨークへの帰り道のキュナード・ライン海運船で彼らに出会った。)
  • She was an interesting talker. A woman who had traveled all over the world and lived in half a dozen countries.
    (彼女はおもしろい話者でした。世界中を旅して、6ヵ国に住んでいた女性です)

これらの例のどれもが、最初のピリオドはカンマに置き換え、そのあとの名詞は小文字で始めるべきです。

強調するか、表現を文の趣旨にかなったものにし、それに応じて句読点をつけることは許されています。

  • Again and again he called out. No reply.
    (何度も何度も彼は呼びかけた。返事はありません)

しかしながら、文筆者は、省略された文が構文や句読点の単なる間違いに見えないようにするため、強調が正当なことを確信している必要があります。一般的に言えば、崩れた文は、人物が短縮したり断片的に話したりするときの対話の中にあります。

ルール3、4、5、6は、句読点を管理する最も重要な規則をカバーしています。これらのルールは習癖となるように徹底的にマスターしなければなりません。

7.独立節 (independent clause) の後にコロンを使用して(詳細、肯定、拡大、例示的な引用)リストを紹介する

コロン(:)は、次の句が前の句と密接に関連していることを読者に伝えます。コロンはカンマよりも効果があります。セミコロンよりも分離する力があり、ダッシュ(―)よりも形式的です。これは通常、独立節に従い、動詞をその補語から分離したり、前置詞をそれらから分離したりしないでください。

下のカラムの例は間違っています。

  • Your dedicated whittler requires: a knife, a piece of wood, and a back porch.
  • Understanding is that penetrating quality of knowledge that grows from: theory, practice, conviction, asserting, error, and humiliation.

次のカラムのように書きかえてください。

  • Your dedicated whittler requires three props: a knife, a piece of wood, and a back porch.
    (専用の細工師 (whittler) は、3つの小道具が必要です:ナイフ、木片、バックポーチ)
  • Understanding is that penetrating quality of knowledge that grows from theory, practice, conviction, assertion, error, and humiliation.
    (理解とは、理論、実践、信念、主張、誤り、恥から生まれる知識の質です)

もしも、2つ目の句が1つ目の句を解釈したり (interprets) 拡大 (amplification) したりするなら、2つの独立句をコロンで結合します。

  • But even so, there was a directness and dispatch about animal burial: there was no stopover in the undertaker’s foul parlor, no wreath or spray.
    (それなのに、動物の埋葬については、直接性と手早さがあった。葬儀屋の汚いパーラーに寄留しないし、花輪や小枝飾りも無い)

コロンは、前の句をサポートする、または、貢献する引用を導入することがあります。

  • The squalor of the streets reminded her of a line from Oscar Wilde: “We are all in the gutter, but some of us are looking at the stars.”
    (ストリートの荒廃さは、オスカー・ワイルドの言った「私たちはみんなドブの中にいる。でも、そこから星を眺めている人もいる」という台詞を彼女に思い出させた)

コロンにも特定の形式的な機能を持っています。フォーマルな手紙のあいさつの言葉に従うこと、時間の表記で時と分を区別すること、作品の主題と副題や、聖書の章と節を区別したりします。

  • Dear Mr. Montague:(親愛なるモンターギュ様)
  • departs at 10:48 PM(午後 10:48 発)
  • Practical Calligraphy: An Introduction to Italic Script(実用書道:イタリック・スクリプト入門)
  • Nehemiah 11:7(聖書ネヘミア 11:7)

8.ダッシュ(―)を使って、急なブレイクや中断を設定したり、長い同格 (appositive) や要約 (summary) をアナウンスする

ダッシュは、コンマよりも強く、コロンよりもフォーマルではなく、括弧よりもリラックスした区切りのマークです。

  • His first thought on getting out of bed — if he had any thought at all — was to get back in again.
    (ベッドを出ることについて彼の最初に考えたことは――もしも、何かの考えがあったとしても――もう一度ベッドに戻ることだった)
  • The rear axle began to make a noise — a grinding, chattering, teeth-gritting rasp.
    (後輪の車軸がノイズを立てはじめた――きしるような、カタカタ鳴るような、歯ぎしりのような)
  • The increasing reluctance of the sun to rise, the extra nip in the breeze, the patter of shed leaves dropping — all the evidences of fall drifting into winter were clearer each day.
    (太陽が昇るのをますます嫌がるようになり、冷たい風が増し、パタパタと落ち葉が降り――冬へと向かう秋の気配が日に日に明らかになりました)

ダッシュは、一般的な句読点のマークでは不十分と思われるときに使用します。

  • Her father’s suspicions proved well-founded — it was not Edward she cared for — it was San Francisco.
  • Her father’s suspicions proved well-founded. It was not Edward she cared for, it was San Francisco.
    (彼女の父親の疑惑は根拠を裏付けていた。彼女が気にしていたのはエドワードではなく、サンフランシスコだった)

この例では通常の句読点で十分なので、ダッシュ(―)は、不必要である可能性が高いのだと思います。

  • Violence — the kind you see on television — is not honestly violent — there lies its harm.
  • Violence, the kind you see on television, is not honestly violent. There lies its harm.
    (テレビで見るような暴力は、正直なところ暴力ではない。その嘘には害がある)

この例では通常の句読点で十分なので、ダッシュ(―)は、不必要である可能性が高いのだと思います。

9.主語 (subject) の数で動詞 (verb) の数が決まる

主語と動詞の間に介在する単語は、動詞の数には影響しません。

  • The bittersweet flavor of youth — its trials, its joys, its adventures, its challenges — are not soon forgotten.
  • The bittersweet flavor of youth — its trials, its joys, its adventures, its challenges — is not soon forgotten.
    (ほろ苦い青春――その試練、喜び、冒険、挑戦――は、やすやすと忘れられない)

ここでの主語は、ほろ苦い青春であって、その間にある単語(試練、喜び……など)の数は影響していないという例だと思います。

よくある失敗は、one of ... に続く関係節 (relative clause) での単数動詞の使用、または、関係詞 (relative) が主語であるときの同様の表現をすることです。

  • One of the ablest scientists who has attacked this problema.
    One of the ablest scientists who have attacked this problem.
    (この問題に着手した最も聡明な科学者のひとりです)
  • One of those people who is never ready on time.
    One of those people who are never ready on time.
    (時間通りに準備できていない人々のひとりです)

eacheithereveryoneeverybodyneithernobodysomeone の後には、単数形の動詞を使います。

  • Everybody thinks he has a unique sense of humor.
    (誰もが彼にはユーモアのセンスがあると思っています)
  • Although both clocks strike cheerfully, neither keeps good time.
    (どちらの時計も軽快に時を打つけれど、どちらも正しい時間を保てません)

none は、「no one」や「not one」という意味のときに単数形の動詞を使います。

  • None of us are perfect.
  • None of us is perfect. (誰も完璧ではないです)

「no one」は nobody にちかくて、「not one」は none に近い。「not part of a whole(全体の一部ではない)だと単数形ということだと思います」

none が複数のことや人を示唆するとき、複数形の動詞 (plural verb) を一般的に使用します。

  • None are so fallible as those who are sure they're right.
    (自分が正しいと確信している人ほど、誤りを犯しやすい人はいない)

None は誤りを犯しやすい人々を指すから、are であり、they are になるんだと思います。

2つ以上の名詞で構成した複合名詞 (compound subject) は、だいたいつも複数形の動詞が必要です。

  • The walrus and the carpenter were walking close at hand.
    (セイウチと大工は、すぐ近くを歩いていた)

セイウチと大工の2つの名詞で構成された複合主語だから were になっているんだと思います。

eachevery で修飾された複合主語 (compound subjects) がそうであるように、ある種の複合語は、しばしば決まり文句として(主語をバラバラに)分けることができず、それらは単位として考えられ、そして、単数形の動詞をとります。

  • The long and the short of it is... Bread and butter was all she served.
    (かいつまんで言えば……彼女が給仕したのはパンとバターだけだった)
  • Give and take is essential to a happy household.
    (お互いの譲り合いは、幸せな家庭に不可欠です)
  • Every window, picture, and mirror was smashed.
    (すべての窓、写真、鏡が砕かれました)

単数形の主語は、たとえ withas well as(AもBも)、in addition to(~に加えて、~の他に)、excepttogether with(~と共に、~ならびに、~が加わって)、no less than で接続されていても単数形のままです。

  • His speech as well as his manner is objectionable.
    (彼の話し方も態度も不快です)

連結動詞 (linking verb) は、主語の数と一致します。

  • What is wanted is a few more pairs of hands.
    (欲しがられているものは、もう少しの人手です)
  • The trouble with truth is its many varieties.
    (真実の問題点は、その多様性にあります)

What is wanted が名詞句になっていて、is のあとに続く述語と繋がっています。(is が連結動詞)主語と(is の目的語ではない)述語部分を主語と繋げるものを結び合わせるケースのとき、連結動詞の形は、主語の数と一致している、という話だと思います。
なので、真実の多くの問題点の動詞は is で述部の複数にも見えるむつかしい状態から判断しないという話でもあるんだと思います。

複数形に見えるいくつかの名詞は、通常だと単数形と解釈され、なおかつ、単数形の動詞が与えられます。

  • Politics is an art, not a science.
    (政治は芸術であって、科学ではない)
  • The Republican Headquarters is on this side of the tracks.
    共和党本部は、こちら側の地域にあります)

しかし(次の場合は単数ではない)

  • The general's quarters are across the river.
    (総督の居住施設は川を渡ったところにあります)

このようなケースにおいて文筆者は、単純に慣用句 (idioms) を覚えなければなりません。

本の内容は単数です。瓶の中身は、ジャムやビー玉――瓶の中になにが入っているかによって、単数形か複数形のどちらかになります。

10.固有代名詞 (the proper case of pronoun) の使い方

人称代名詞 (the personal pronouns) や代名詞 (pronoun) who は、主語や目的語として機能するように形態変化します。

  • Will Jane or he be hired, do you think?
    (ジェーンと彼は、雇われると思いますか?)
  • The culprit, it turned out, was he.
    (犯人は彼だとわかった)
  • We heavy eaters would rather walk than ride.
    (私たち大食漢は、むしろ乗ることより歩くことのほうが好きです)
  • Who knocks?
    (ノックは? or 誰がノックを?)
  • Give this work to whoever looks idle.
    (空いている者にこの仕事を与えなさい)

最後の例の whoeverlooks idle の主語です。前置詞 to の目的語は、節の全体 whoever looks idle です。who が従属節を導入するとき、節の機能に依存します。

  • Virgil Soames is the candidate whom we think will win.
    Virgil Soames is the candidate who we think will win.
    バージル・ソームズは、私たちが勝つと思う候補者です)
  • Virgil Soames is the candidate who we hope to elect.
    Virgil Soames is the candidate whom we hope to elect.
    バージル・ソームズは、当選することを希望する候補者です)

we think he will winwe hope to elect him が従属節。

比較をする代名詞は、(もしも)明言した主語や(前の文章からすでに)分かっている動詞のとき、主格になっています。

  • Sandy writes better than I.(Than I write.)
    (サンディは私よりも上手に書きます)

主格とは、格における I とか He とか She とかのことで、例も比較する代名詞に I があって、主格なのだと思います。

一般的には、あてがわれているのが「(もう)分かっているよ」という動詞は省略してください。

  • I think Horace admires Jessica more than I.
  • I think Horace admires Jessica more than I do.
    (ホラスは私よりもジェシカを尊敬していると思います)
  • Polly loves cake more than me.
  • Polly loves cake more than she loves me.
    (ポリーは私よりもケーキが好きだ)

目的格の場合は、つぎの例が正しいです。

  • The ranger offered Shirley and him some advice on campsites.
    (レンガ―は、シャーリーと彼にキャンプ場でのアドバイスをしました)
  • They came to meet the Baldwins and us.
    (彼らは、ボードウィンと私たちに会うために来ました)
  • Let’s talk it over between us, then, you and me.
    (じゃあ、あなたと私、私たちの間で話し合いましょう)
  • Whom should I ask?
    (私はだれに聞けばいいですか?)
  • A group of us taxpayers protested.
    (私たち納税者のグループが抗議しました)

him, us, me, whom など目的格が使われている例だと思います。

最後の例の us は、前置詞 of の目的語である taxpayer と同格 (apposition) です。文法的には守られていますが、この言い回しが適切であることは滅多にありません。完璧ではないかもしれませんが、A group of us protested as taxpayers のほうが適切です。

同格は、語句の意味を補いあったり、言い換えていたり、似たようなもののこと。

人称代名詞 (personal pronoun) を主語として、シンプルに使ってみた例を挙げます。

  • Blake and myself stayed home.
  • Blake and I stayed home.
    (ブレイクと私(自身)は家に居ました)
  • Howard and yourself brought the lunch, I thought.
  • Howard and you brought the lunch, I thought.
    (ハワードとあなた(自身)がランチを持ってきた、と私は思った)

代名詞の所有格は、所有権を示すために使われます。2つの形式があります。

  1. 形容詞の修飾形式
    例)your hat
  2. 名詞の形式
    例)a hat of yours

  3. The dog has buried one of your gloves and one of mine in the flower bed.
    (その犬は、あなたと私の手袋の片方を花壇に埋めました)

通常では、動名詞 (gerund) は所有格 (possessive case) を必要とします。

  • Mother objected to our driving on the icy roads.
    (母は、凍った道での私たちの運転に反対した)

driving は現在分詞ではなくて動名詞。(名詞の役割をしている)なので、所有格の our をとる、ということだと思います。

一方で、動詞 (verbal) の現在分詞 (present participle) は、目的格 (objective case) をとります。

  • They heard him singing in the shower.
    ((彼らは、)彼がシャワー中に歌っているのを聞いた)

ここでの singing動名詞ではなくて現在分詞。なので、目的格の him が対応しているのだと思います。

動詞分詞 (verbal participle) と動名詞 (gerund) の違いは必ずしも明白ではありませんが、次の例のそれぞれが指摘することに注意してください。

  • Do you mind me asking a question?
  • Do you mind my asking a question?
    (質問してもいいですか?)

1つ目の文では、焦点は me asking a question という文章の中でも me にかかります。2つ目の文は、焦点になるのは質問をすること自体です。

1つ目の文は asking が現在分詞で、2つ目の文は 動名詞 だと思います。my asking の関係は2つがセットなので主従関係はない。でも、me askingme が主の関係なので、やや強調されることになるのだと思います。2

11.文の最初にある分詞句 (participial phrase) は、文法的主語 (grammatical subject) を参照している必要があります

  • Walking slowly down the road, he saw a woman accompanied by two children.
    (ゆっくりと道を歩いている彼は2人の子供を連れた女性を見ました)

walking という単語は、woman ではなくて文の主語を参照します。(これだと hewoman を参照するようにするには、文筆者は文章を書き直す必要があります。

  • He saw a woman, accompanied by two children, walking slowly down the road.
    (彼は2人の子供を連れた女性がゆっくりと道を歩いているのを見ました)

前置詞 (preposition) や接続詞 (conjunction) が前に付いた分詞句 (participle pharase) や、同格 (apposition) の名詞、形容詞 (adjectives) と形容詞句 (adjective phrases) は、文の最初にあるときに同じルールに従います。

  • On arriving in Chicago, his friends met him at the station.
  • On arriving in Chicago, he was met at the station by his friends.
    (シカゴに到着すると、彼は駅で友人たちと会いました)

On arriving in Chicago という句が文のはじめにあるから、文の主語は he でないといけないと思います。

  • A soldier of proved valor, they entrusted him with the defense of the city.
  • A soldier of proved valor, he was entrusted with the defense of the city.
    (勇敢な兵士たる、彼は都市の防衛を任されました)

A soldier of proved valor という句が文のはじめにあるから、文の主語は勇敢な兵士である he が適切なのだと思います。

  • Young and inexperienced, the task seemed easy to me.
  • Young and inexperienced, I thought the task easy.
    (若くて経験の浅い、私はその仕事が簡単に思いました)

Young and inexperienced という句が文のはじめにあるから、文の主語は若くて経験の浅い I が適切なのだと思います。

  • Without a friend to counsel him, the temptation proved irresistible.
  • Without a friend to counsel him, he found the temptation irresistible.
    (相談する友人がいなければ、彼は誘惑に抵抗できないことがわかった)

ルール11を破っている文は、多くの場合で滑稽です。

  • Being in a dilapidated condition, I was able to buy the house very cheap.
  • Wondering irresolutely what to do next, the clock struck twelve.

Being in a dilapidated condition(老朽化した状態だったので)という句が I を参照するのは適切ではないと思います。同じく、Wondering irresolutely what to do next(次に何をしたらいいかとぐずぐずしてたら)という句が the clock を参照するのは適切ではないと思います。

参考

The Elements of Style, Fourth Edition

The Elements of Style, Fourth Edition


  1. Direct address は、対応するよい用語がわかりませんでした。

  2. ここの翻訳は直訳がむつかしくて、内容の意図を重視しています。 (URL)