sh1’s diary

プログラミング、読んだ本、資格試験、ゲームとか私を記録するところ

スマホの「読み上げ」を使って、耳で青空文庫を手軽に読む

「読み上げ」でする読書

Androidスマートフォンで、青空文庫の「老人と海」(ヘミングウェイ)を読みました。いや、読み聞かせてもらいました。

ジムのランニングマシンで走りながら、私は Android の読み上げ機能を使って読んだというわけです。通勤時間なんかでもオススメできそうです。
読み聞かせてくれるって、受動的いいので楽ちんですね。

「読み上げ」のやり方と Play ブックス

Kindle なんかの電子書籍を TTS (Text to speech) 機能を使って読書するやり方は、少し前から紹介の記事があると思います。
日本語の音読は Kindle は対応していないため、現在はユーザー補助の TalkBack という機能を利用して音読するやり方が( Android だと)知られています。
ただし、この TalkBack という機能は、一度 ON にしてみればわかるのですが Android 自体の操作方法が一変してしまいます。正直、絶対使いたくないと感じるはずです。少なくとも手軽さは無い。

そこで、助けになったのが Google 標準搭載の「Play ブックス」でした。意外。なんとこれ、「読み上げ」機能を持っているし、自分で「ファイルをアップロード」できちゃうんですね。つまり、青空文庫にある小説データをアップロードして読めちゃうわけですな。
決め手は、標準搭載の読み上げ機能(*1) でいけちゃうので TalkBack を ON にしなくていい。すばら。QOL の高まりを感じた。

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(*1) 「設定」>「ユーザー補助」>「スクリーンリーダー」>「テキスト読み上げの出力」で Google テキスト読み上げエンジンなど、なんらかのエンジンをインストールする必要があります。存在しないときは
Android Accessibility Suite
が該当かも。読み上げ速度もここで設定します。


電子書籍データのダウンロード

「Play ブックス」のファイルアップロードの対応形式は PDF か ePub です。青空文庫の文章データを指定の形式に変換してやる必要があります。
こういうのは、コンバーターサイトを利用しましょう。

http://nt-book.com/#spantop

追記:上記のコンバーターはときどき Play ブックスが読み取ってくれないときがあります。「AozoraEpub3」のほうが、成功率がやや高い気がします。

読みたい小説を探して「変換してダウンロード」を選択。
自動的に ePub 形式のファイルに変換してくれるので、これを マイブックス にアップロードしてやります。

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青空文庫は取り扱い規準において、「利用や複製・再配布・共有に先立って、ファイル形式を変換したり、ルビや外字・傍点などの注記形式を変更することも可能です。」としています。安心ですね。

読み聞かせてもらって気になったところ

老人と海」を読み聞かせてもらったのですが、いくつかの漢字を間違えて読んでいました。
その名詞を間違えて読むと繰り返し現れる名詞は、全部間違ったとおりに読んでしまいます。
これは、間違いを指摘してあげたい気持ちになります。

例えば、「老人と海」には「船」と「奴」という名詞がよく出てきます。読み上げ機能は「せん」と「やっこ」と読んでいました。たぶん。
例えば、「船をおりて」のときだと、「せんをおりて」と読んでしまいました。わかりやすい間違いなので頭の内で置き換えができました。
「奴はかしこい」のときだと、「やっこはかしこい」と読んでいました。独特な彩りが加えられました。

もしかすると、漢字の多いものは、変な読みに慣れてしまいそう。逆に「紫陽花」とか読みが決まっているのは、上手に読んでいた印象です。
まったくテキストを読まないでよいというわけではなくて、「今なんて言った?」って思ったらテキストを見直し、置き換えがところどころで必要です。

老人と海」の感想(おまけ)

ヘミングウェイの小説における主役(本作であれば老人)は、「男らしさ」がよく現れています。ハードボイルドとも捉えられますが、英語の wiki (Hardboiled) を見ると、これとは、ちょっとニュアンスが違うのかな。武論尊の「男らしさ」をハードボイルドというような感じだと思います。

Hardboiled (or hard-boiled) fiction is a literary genre that shares some of its characters and settings with crime fiction (especially detective stories). The genre's typical protagonist is a detective who witnesses the violence of organized crime that flourished during Prohibition (1920–1933) and its aftermath, while dealing with a legal system that has become as corrupt as the organized crime itself.

Wiki - Hardboiled

それはさておき、「老人と海」の物語はシンプルです。でも、状況と心の両面から丁寧に進められている。
シンプルな物語なので、こうなって、あーなって、それでどうなった、みたいなところだけを追っていると、退屈だと思います。

個人的に読了後、印象に残ったのは以下の部分と結末。

彼にとって海は「ラ・マール」であった。海を愛する人々は、海のことをスペイン語の女性形でそう呼ぶ。 (略) 老人にとって海はいつも女性であり、大きな恵みをくれたりくれなかったりするものだった。

ヘミングウェイは、以下のとおりにも言っているらしい。

There isn't any symbolism. The sea is the sea. The old man is the old man. The boy is a boy and the fish is a fish. The sharks are sharks, no better, no worse.

On Hemingway and Symbolism

この小説は、実際的なので、「どう読む」みたいなのが見えない。良し悪しがない。感動を表現しているとも思わない。それでいて読了感がよいのが特徴だと思う。

老人の闘志や誇りを読んでもいい。骨になった虚しさを読んでもいい。老人と少年の関係を読んでもいい。
ロマンシングサガのように、物語の始まりから終わりまでを、読者が自由に読んでいいんだと思う。

最後に、私は、この小説を小学生のころに一度読んだことがあるみたいです。途中で断片的に思い出しました。
ただ、そのときは課題図書かなにかだったようで、あんまり楽しく読んだわけではなさそうです。むしろイヤイヤだったんだろうなーと。
老人のように、昔のことを思い出しました。

ライオンの夢は見ませんでした。